
RTX 5060Ti 8GBと16GBはどっちを選ぶべき?性能差とおすすめ用途を徹底比較

RTX 5060Tiの8GBと16GB、どっちを選べばいいか?

先日発売されたNVIDIAのRTX 5060Ti。
このモデルには、8GBモデルと16GBモデルの2種類が存在します。
チップ構成は同じでも、メモリ容量の違いが選択の分かれ目になります。
しかし…どちらを選ぶべきなのでしょう?
結論から言えば、今から購入するのであれば16GBモデルを選ぶのが無難です。
その理由は、将来性と価格差のバランスです。
価格差は約1万円前後。それなら容量に余裕がある方が安心
現時点での市場価格を見ると、8GBモデルはおよそ7万円台半ば。
16GBモデルはおよそ8万円台半ばで販売されています。
その差は約1万円程度。
この金額で将来的な用途の広がりや安心感を得られるなら、16GBモデルを買う方が性能以外の面でも意味がある投資と言えます。
VRAMが足りないとどうなるか
GPUのメモリ(VRAM)が不足すると、
など、性能以前にストレスが増える場面が出てきます。
とくに最近のゲームでは、推奨VRAMが10〜12GBを超えるケースも増えており、
「8GBだと動かないわけではないが、ギリギリで不安」という状況が増えてきています。
いま快適、そして2年後も不満なく使いたいなら
フルHDのゲームプレイや、軽めの編集作業が中心なら、パフォーマンスに大きな違いは出ません。
ただし、RTX 5060Tiを数年単位で使っていくつもりであれば、16GBの方が「後悔しにくい」選択肢になります。
同じGPUで性能差がないからこそ、メモリ容量だけで将来の快適さが変わってくる。
そう考えると、この1万円の差は決して高くないといえます。
判断に迷ったときの整理
- 今すぐ使いたい、価格を抑えたい
→ 8GBでも使える - 長く使いたい、ソフトの進化に対応したい
→ 16GBを選んでおくと安心
特に悩む理由がなければ、16GBモデルを選ぶことでスペックに対する不安を解消できるはずです。
RTX 5060TiってどんなGPU?基本スペックを整理

RTX 5060Tiは、NVIDIAの最新世代アーキテクチャ「Blackwell(ブラックウェル)」を採用したミドルレンジ向けGPUです。
前世代であるRTX 4060Tiから順当に進化し、最新のゲームやクリエイティブ用途に対応できる性能を備えつつ、価格帯を抑えた設計が特徴です。
RTX 5060Ti 8GBと16GBの共通スペック
8GBモデルと16GBモデルの違いはVRAM容量のみで、GPUコアや動作クロックなどは共通です。
項目 | 共通仕様 |
---|---|
アーキテクチャ | NVIDIA Blackwell |
CUDAコア数 | 4,608基 |
ブーストクロック | 最大 2.57 GHz |
メモリタイプ | GDDR7(128-bit) |
メモリ帯域幅 | 最大 448 GB/s |
バスインターフェース | PCIe 5.0 x8 |
消費電力(TGP) | 最大 185W(16GB) / 160W(8GB) |
推奨電源 | 550W |
対応技術 | DLSS 4、レイトレーシング、AV1エンコードなど |
※出典:NVIDIA
唯一の違いは「メモリ容量」
このモデルで選択を分けるポイントはVRAM容量が8GBか16GBかという一点に尽きます。
モデル | VRAM容量 | メモリバス |
---|---|---|
RTX 5060Ti 8GB | 8GB | 128-bit |
RTX 5060Ti 16GB | 16GB | 128-bit |
メモリ帯域幅は同じであり、クロック性能も変わりません。
ただし、VRAMが倍になることで扱えるデータ量に余裕が生まれるため、高解像度のテクスチャや複数アプリ同時処理などでの差が現れます。
メモリ容量が与える影響とは?
メモリ容量の違いは、以下のような使用状況で明確に影響を与えます:
- 最新のゲームタイトルでの高設定+高解像度描画
- OBSなどでの録画・配信との並行処理
- 4K動画編集、After Effects、Blenderなど重めの制作環境
- 生成AIや画像処理など、VRAM消費の激しい用途
逆に、フルHD環境での一般的なゲームプレイでは8GBでも支障は少なく、体感差が出にくいケースもあります。
なぜ「容量だけの違い」がここまで重要なのか
RTX 5060Tiは、GPUとしての基本性能が共通だからこそ、搭載メモリの容量がボトルネックになるかどうかが快適性の分かれ道になります。
同じ性能を持っていても、VRAMが足りない場面では
- カクつき
- 読み込み遅延
- クラッシュ
など、数字には現れにくいストレスが増えていきます。
メモリ容量の違いがもたらす実際の影響

RTX 5060Tiの8GBモデルと16GBモデルは、GPU自体の性能は同じです。
ただし、搭載されているVRAM容量の違いが、ゲームやクリエイティブ用途で具体的な影響をもたらします。
ここでは、実際の使用シーンごとに、どのような違いが現れるのかを見ていきます。
高解像度ゲームではVRAM使用量が一気に跳ね上がる
近年のゲームは、1080p(フルHD)から1440p、4Kへと解像度が高くなるに連れてVRAMの消費も増加します。
とくに、以下のような設定でプレイする場合、8GBではギリギリか、足りなくなることがあります。
- テクスチャ品質:高〜ウルトラ
- レイトレーシング:有効
- 解像度スケーリング:100%以上(DLSSオフ)
- MOD導入(ENB・高解像度パックなど)
たとえば『Hogwarts Legacy』や『The Last of Us Part I』など、VRAM 10〜12GB以上を推奨するタイトルもすでに登場しています。
複数アプリを並行する場面では、16GBが安定性を保つ
ゲーム以外でも、OBSや配信ソフト、Chromeブラウザをバックグラウンドで開いた状態での使用では、合計で10GBを超えるVRAM消費に達することがあります。
たとえば:
- ゲームプレイ中にDiscord+OBS+ブラウザを併用
- 動画編集しながらAfter EffectsやPhotoshopも立ち上げている
- プロンプト生成型のAIツールを使いながらレンダリング
こうした状況では、8GBモデルでは処理の途中で強制終了や画面の一時停止が起こるリスクが増えます。
VRAM不足はフレームレートではなく「不安定さ」として現れる
「8GBでもFPS(フレームレート)が出るなら十分では?」と思われるかもしれません。
たしかに、軽めのタイトルではそうですし、ベンチマークスコアだけを見れば両者に大差は出ません。
しかし、実際の使用では「カクつく瞬間」「ロード時間の差」「一瞬の止まり」など、見えにくい快適性の違いが出てきます。
VRAMが足りないと、OSやGPUが一部のデータをストレージ(SSD)へ退避させる「スワップ処理」が発生し、これが引っかかりや遅延の原因になります。
編集作業・AI用途では16GBが必須に近づいている
以下のような用途では、8GBでは限界に近いです。
- 4K・10bit映像のカラーグレーディング
- 高解像度素材を大量に使うPremiere ProやDaVinci Resolveの編集
- Stable DiffusionなどのローカルAI生成(512×512で複数バッチ生成)
今後もこうしたアプリケーションのVRAM消費は増えていくと予想されます。
容量の違いは“保険”ではなく、“実用性”の差になる場面がある
- フルHDで軽めのゲームを単体で動かすだけなら、8GBでも困らない
- ただし、マルチタスクや重たい設定、将来のゲーム・アプリを見越すなら、16GBの方が安定
特に長時間の使用や配信・編集など“途中で止まってほしくない作業”を行う人にとって、16GBは「過剰」ではなく「安心の最低ライン」に近づきつつあります。


ベンチマーク比較:フレームレートと安定性

RTX 5060Tiの8GBモデルと16GBモデルは、GPUのアーキテクチャやクロックが共通しているため、基本的なレンダリング性能には大きな差がありません。
それでも、VRAM容量の違いが、一定の条件下で明確な挙動の差として表れます。
DLSS 4使用時や高解像度環境で差が出始める
Tom’s Hardwareのレビューによると、DLSS 4を使用した場合、16GBモデルのほうが平均フレームレートが安定しやすいという結果が示されています。
特にVRAM使用量が多くなるシーンでは、8GBモデルはメモリ不足による引っかかりやフレームタイムの乱れが発生しやすいと報告されています。
With the RTX 50-series, Nvidia’s main talking point is DLSS 4 with Multi-Frame Generation (MFG). While this feature shows promise on higher-end cards like the RTX 5090 and 5080, it doesn’t translate as well to the 60-class GPUs — particularly the 8GB variant. In Cyberpunk 2077, for example, the RTX 5060 Ti 8GB inexplicably performed worse than the RTX 4060 Ti 8GB at native 1440p resolution. While enabling MFG helped improve performance, pushing it to 4x delivered underwhelming results, with the 16GB version providing 22% higher performance than the 8GB card.
軽量タイトルではスコア差はほとんどなし
WQHD以下の解像度、標準~高設定であれば、8GBモデルと16GBモデルのフレームレートに大差は見られません。
例として、『Baldur’s Gate 3』や『Call of Duty: MW3』などの軽中量級タイトルでは、以下のような差に収まることが報告されています。
ゲームタイトル | 解像度 | 5060Ti 8GB | 5060Ti 16GB |
---|---|---|---|
Baldur’s Gate 3 | 1080p | 97 fps | 98 fps |
Call of Duty: MW3 | 1080p | 143 fps | 145 fps |
このように、軽量ゲームではメモリ容量の影響がほとんど現れません。
編集・配信・AI用途ではフレームドロップ軽減に直結
OBSやPremiere Proなどと併用する場合、8GBモデルではVRAMがひっ迫しやすく、フレーム落ちや遅延の原因になることがあります。
これに対して、16GBモデルではメモリに余裕があるため、
- 長時間の録画・編集
- 同時マルチアプリ稼働
- GPUベースの生成AI実行
スコアでは互角でも、実環境で差が出る
- フレームレートだけを見れば差は小さい
- ただし、DLSSや高解像度、並列処理ではVRAM容量が快適さの鍵を握る
- とくに、配信・編集・AI処理などで長く使いたい人には、16GBモデルの安定性は明確なメリット


価格差とコスパ:追加投資は妥当か?

RTX 5060Tiの8GBモデルと16GBモデルには、性能ではなくメモリ容量に基づく価格差があります。
ここでは、その価格差が実際の使用価値に見合っているかを見ていきます。
実売価格の差は約1万円〜1万5千円
2025年4月時点での参考価格(日本国内流通価格)
モデル | 国内実売価格 |
---|---|
RTX 5060Ti 8GB | 約76,000円前後 |
RTX 5060Ti 16GB | 約86,000円前後 |
価格差はおおよそ10000円程度。
これは、VRAMが倍になる代償としては比較的リーズナブルな範囲に収まっています。
メモリ容量2倍=価格1.2倍程度の上昇。割高感はない
一般的に、上位GPUへのグレードアップには数万円の差が発生しますが、
今回のように1万円強の差で実用性・将来性が大きく伸びる構成変更は珍しく、コスパ的に良好です。
さらに、消費電力はほぼ同じで、冷却・電源構成も変更不要。
このことからも、「システム全体のコストバランスを崩さずに、VRAMだけを拡張できる」というのは明確なメリットといえます。
中古リセールや長期利用で考えると、16GBに分がある
GPUのリセールバリュー(中古価格)は、単にコア性能だけでなく、「今のトレンドに適しているか」が大きく影響します。
将来的に買い替えや売却を検討している場合にも、16GBの方が価値を保ちやすいと考えられます。
総合的に考えると、価格差以上の“安心感”を得られる
- 今すぐに8GBで困らない人も、2〜3年先を見据えるなら16GBが有利
- ゲーム、配信、編集、AIなど用途が広がるほど、容量差は効いてくる
- 追加1万円前後で、**「買い替えのタイミングを先延ばしにできる」**と考えれば、長期的なコスト圧縮にもつながる
まとめ
RTX 5060Tiの8GBと16GBモデルは、処理性能は同じですが、メモリ容量に差があります。
ゲームや日常的な用途なら8GBでも問題ありませんが、配信や動画編集、将来のゲーム環境を見据えるなら16GBが安心。
価格差は約1万円程度で、長期的な快適さと安定性を得られると考えると、16GBモデルの方がコストパフォーマンスに優れた選択肢です。
せっかく購入するのであれば、より自分に合ったモデルを購入するようにしましょう!
