
自作PCを組もうと見積もってみたらメモリの価格が半年前の倍になっていた…
最近、PCユーザーやガジェット好きの間で、悲鳴にも似た声が上がっています。
2025年後半から急速に始まった「メモリやSSD価格の歴史的な高騰」。
これは一時的な変動ではなく、過去10年で最も深刻な「供給危機」と言われています。
以前は「メモリは安すぎるくらい」「SSDは今が買い時」だった時代もありましたが、その常識は完全に崩れ去りました。
この記事では、以下のポイントを解説します。
- メモリ高騰の原因: なぜ今、急激に値上がりしているのか?
- メモリの価格推移: DDR5や過去10年の動きと比較した現在の「異常性」
- 将来予測: この値上がりは「いつまで」続くのか?
- スマホやゲーム機への影響: 2026年モデルの価格はどうなる?
これからPCパーツを買う人、スマホの買い替えを検討している人は、ぜひ知っておくべき情報をまとめています。
「買い時」を逃さないために、ぜひ最後までご覧ください。
メモリ高騰の原因は?2025年に起きている「異常事態」を解説


メモリを含むPCパーツの値上がりの原因は、単なる円安やインフレだけが原因ではありません。
半導体業界の構造そのものが、2025年に入って劇的に変化してしまったことが最大の要因です。
生成AIバブルによる「HBM」への製造シフト
2025年のメモリ高騰を引き起こしている最大の犯人は、「生成AI(人工知能)」です。
台湾の市場調査会社TrendForce(トレンドフォース)のレポートによると、Samsung、SK Hynix、Micronの三大メモリメーカーは、利益率の高いHBM(High Bandwidth Memory)の生産能力を劇的に拡大させています。
- HBMは利益率が高い: メーカーにとって、汎用のDDR5メモリを作るよりHBMを作ったほうが圧倒的に利益が出ます。
- 工場のラインを占拠: 既存のDRAM生産ラインが次々と「HBM専用」に書き換えられています。
- 一般向けの供給減: その結果、私たちがPCで使う「DDR5」や「DDR4」を作るためのキャパシティが物理的に減少しました。
つまり、世界中の工場がAI用メモリを作るのに必死で、一般人のPC用メモリを作らなくなった。これが値上がりの根本的な理由です。
ビッグテックによる在庫の「買い占め」
2025年に入り、OpenAIやMicrosoftといった巨大IT企業が、将来のAIインフラ確保のために動いています。
特に、ロイター通信などが報じた巨大データセンタープロジェクト「Stargate」の進行に伴い、世界規模でDRAMチップの長期供給契約が結ばれています。
市場に出回るはずだったDRAMチップが、製造段階で「予約済み」になってしまったことで、各ショップでの卸値が急騰。これが店頭価格に直結しています。
メーカー各社の戦略転換:「減産」から「選別」へ
2023年頃までメモリ価格は暴落していました。
メーカーは赤字を解消するため「減産」を行っていましたが、2025年は違います。
「作れば売れるHBM」に全力を注ぎ、「利益の薄い汎用DRAM」は意図的に生産を絞るという戦略が浮き彫りになっています。
メーカーが増産に動かない限り、この供給不足は解消されません。



個人にとっては大変辛い…
10年で見ても異常なメモリ価格推移


では、実際の価格はどれくらい上がっているのでしょうか?
価格.comの価格推移グラフや「メモリ価格推移 10 年」のチャートを見ると、その異常さが際立ちます。
DDR5メモリはわずか半年で価格が2倍に迫る
2025年前半までは、DDR5-6000 32GBキット(16GB×2)が1万円台半ば〜2万円台で購入できていました。
しかし、2025年12月現在、同じスペックの製品が4万円〜9万円台に突入しています。
特に人気のあるモデルや、クリエイター向けの64GBキットなどは、市場在庫自体が枯渇しており、再入荷のたびに価格が更新(値上げ)されている状況です。
DDR4やSSDも連れ高の様相
「自分は古いPCだからDDR4でいい」と思っている方も要注意です。
DDR5の供給不足と高騰に引っ張られる形で、DDR4メモリも値上がりしています。
さらに、同じ半導体工場で作られるNANDフラッシュ(SSDの材料)も高騰しており、ストレージ価格も上昇中。
「メモリ価格推移 10 年」のグラフで見ると、2017年〜2018年のマイニングブーム時の高騰を超え、過去最高値を更新する勢いを見せています。
スマホへの影響は?
PCだけでなく、私たちの生活必需品であるスマートフォンも無傷ではありません。
2026年発売の次期モデルには深刻な影響が出ると予測されています。
ハイエンドスマホの価格がさらに上昇
スマホに搭載されるLPDDR5Xなどのモバイル用メモリも、PC用と同様に供給が逼迫しています。
こちらの記事でも2026年に入ってスマートフォンやゲーム機などが一斉に値上げする可能性を報じています。
「スペック据え置き」の実質値上げも
価格上昇を避けるために、メーカーが取る戦略は以下の2つです。
- 素直に値上げする: 20万円を超える端末が当たり前になる。
- メモリ容量を減らす: 本来なら16GB載せたいところを12GBに据え置く。
2026年のスマホ市場は、「値段が高いのにスペックが進化していない(メモリ容量が増えていない)」という、消費者にとって厳しい年になるかもしれません。
メモリ高騰はいつまで続く?2026年の見通し


一番気になるのが、メモリ価格の高騰がいつまで続くのか、そしていつまで我慢すればいいのかという点です。
結論:2026年中は「高止まり」か「さらに上昇」
主要メディアの予測を総合すると、残念ながら「近いうちに値下がりする」という予測はほぼ皆無で、むしろ高値維持〜さらに上昇という予測が多い状況です。
2026年前半にかけては、AIサーバー向け需要が一段と拡大し、DDR/HBMともに供給不足と価格上昇がピーク圏に達すると見る調査もあります。
2026年後半になると、Samsung・SK hynix・Micronなど各社の新ラインや増産計画が本格稼働し始めますが、
TrendForceは「それでも需要の伸びが勝るため、2026年中はなお供給不足が続く」と予測しています。
「待てば安くなる」は今回は通用しない?
これまでのPCパーツ市場では「待てば安くなる」が常識でした。
しかし、今回の原因は「AI産業への構造シフト」です。
AIについての開発が止まらない限り、メモリ価格が2024年レベルに戻ること難しいと思われます。



今あるものを大事にするか、覚悟を決めて買うしかないか…
ではどうすべきか?


2025年12月現在、メモリ高騰の原因と見通しについて解説してきました。
- 原因: 生成AIバブルによるHBMへの生産集中。
- 現状: DDR5を中心に価格が急騰。在庫も不安定。
- 未来: 2026年も高値傾向は続く。
来月になれば、さらに数千円上がっている可能性があります。
「あの時買っておけばよかった」と後悔するリスクを減らすために、以下の行動をおすすめします。
PCメモリの増設・PC自作を考えている人
もう新しいPCを組むと決めたのであれば、迷っている時間はありません。
AmazonやPCショップで「在庫あり」の表記を見つけたら、早めにポチることをお勧めします。
特に32GB以上の大容量キットは枯渇が早いです。



無名なメーカーだと若干やすい。
スマホの買い替えを検討している人
2026年モデルの新作を待つよりも、現在販売されている2025年モデル(現行機)を買うのが、コストパフォーマンス的には正解かもしれません。
現行機は値上がり前の契約で部品調達されているため、相対的に割安です。



Appleなどは値上げ前に一定のパーツは調達済みと聞くけど果たして…?
まとめ


今回のメモリ高騰は、AI需要によるHBMへの生産シフトが招いた「構造的な供給不足」が原因です。
TrendForce等の予測通り、この傾向は2026年も続く可能性が高く、「待てば安くなる」というこれまでの定石は通用しづらい状況です。
PCパーツだけでなく、次期スマホの価格上昇も避けられません。
今重要なのは、市場の適正価格を理解し、自身の用途に必要なスペックを冷静に見極めることです。
難しいことですが、無理な買い控えも、焦った買い急ぎも禁物です。
必要なタイミングが今なら迷わず買う、そうでなければ無理に買わなくてもいいと思います。
賢く、このご時世を乗り越えていきましょう!
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!












